筑波大学の学園祭「雙峰祭 (そうほうさい)」まであと1週間を切りましたね。今年は対面とオンラインのハイブリッド形式となり、3年ぶりにキャンパスでの企画やステージが復活するということで、楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
さて、今年対面ステージとして開設されるのは石の広場のUNITEDステージと1A棟食堂の1Aステージ、これに2019年は大学会館と松美池 (*1) 近くの芝生ステージが追加で実施されていたわけですが、さらに以前は別の箇所にステージがあったのをご存じの方はもう多くないでしょうか。
実は、かつては松美池の石段に「松美池ステージ」というステージが設置されていたのです。最後にステージが実施されたのは2018年でした (当時の映像)。この時はすでに後述の問題が進行していたこともあってかかなり簡素なステージでしたが、さらに昔はそれなりにちゃんとしたステージが建設されていたようです (2015年の映像)。
さて、そんな松美池ステージですが、2019年からは設置されていません。理由と言われているのが地盤沈下です。たしかに現在の石段を見てみると、石段が傾いています (写真だと分かりにくいですが・・・)。雨が降った後などで池が増水している際には、最下段が浸水していることもあります。これではステージとしてはなかなか厳しいものがあるように思います。
では地盤沈下の背景に何があるのでしょうか。せっかく地理に関するサークルのブログなので、地盤沈下の要因を探っていきたいと思います。
国土地理院が提供しているWebGISサービス「地理院地図」から、松美池周辺の土地条件を確認してみましょう。
・・・大学一帯に広がる点の模様。これは「改変工事中の区域」を示すものです。実は、この付近の調査が行われたのは1975年。筑波学園都市の建設真っただ中です。そのため、北は筑波大学の先にある花畑から南は国道354号 (つくば駅のはるか南) までに及ぶ広い範囲が改変工事中として指定されています。これではよくわかりませんね。
そこで「明治期の低湿地」データを確認してみましょう。
画面の濃い青が湿地です。子の通り、松美池一帯 (とその西側) に低湿地が広がっていたことが分かります。湿地であったゆえに地盤が軟弱だった可能性が推測できます。
ちなみに東側: 天久保と桜の間には黄色: 深田があり、これも興味深いですね。
なお、松美池一帯のような奥まった湿地のことは「谷津」や「谷戸」と言い、関東地方をはじめとした多くの土地で地名に盛り込まれています。皆さんの地元のお近くにも、ありませんか?
では、昔の地形図では現在の松美池はどのようになっているのでしょうか。こうした際に役立つのが、埼玉大学におられた故・谷謙二先生が提供されているサービス「今昔マップ on the web」です。
このように、松美池が現在ある地点にはかつてから池が存在していたことが分かります。ちなみに雙峰祭開催エリアの北側、一の矢学生宿舎の南側には兵太郎池という別の池がありますが、こちらも昔から池があったようですね。
この図で非常に興味深いのが、筑波大学開学前は道の通り方が今と大きく異なっていたことです。学園都市と呼ばれる一帯全域に当てはまる傾向ですので、昔の地形図と見比べながら学園都市建設を振り返ってみると楽しいかもしれません。
話のまとまりがなくなってしまいましたが、雙峰祭という学園祭1つとっても、その形態は大学の成立やそれ以前の地形と密接に関連しているのです。雙峰祭にお越しになった際には、ぜひこうした点にも思いを馳せながら歩いてみると面白いのではないでしょうか。
雙峰祭企画「つくちり2022」のお知らせ!!!
さて、今年の雙峰祭ですが地理愛好会も企画を出展します!「つくちり2022」として、会の活動内容や会員の研究成果をお届けします。内容を少しだけお届けすると
- 会誌の配布・・・地理愛はじめての会誌です。
- 動画上映・・・なんかおもしろい動画が作られているらしいですよ。
- 筑波山のジオラマ展示・・・デカい。
- つくばの領域探し・・・認知地域「つくば」について。
- 会員の出身地・・・地理愛を牛耳っているのはどこの都道府県?
- つくば野宿マップ・・・野宿ですって。これからの季節にぴったりですね。
- ランドスケープ50年・・・筑波大学とその景観の話。
- 巨大地図・・・巨大な地図に情報を盛り込んでいきます!!!
長々とご覧いただきありがとうございました。地理愛好会は他にも様々な活動を行っています。興味を持たれた方は是非、他の記事も読んでみてください。





